
THE NORTH ISLAND
welcom to nature of hokkaidou
僕の田舎は北海道積丹の小さな漁村です。
子供の頃は夏休みになれば直ぐに泊まりに行って毎日海に入るのが楽しみでしたが、お盆の時期だけは違いました。
祖母からは「お盆になると地獄の窯が開いて、亡者が足を引っ張るから海に行ってはだめだよ。」と言われ恐ろしく感じたものでした。
それから時は経ち、大人になってからサーフィンを始めお盆の海にも40年入り続けて感じたことがあります。
それは単なる迷信みたいなものではなく、教訓に近いものだということです。
今回はその感想とお盆の風習についても、以下の内容で解説してみました。
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これは僕が子供のころから祖母によく言われていました。
「お盆には地獄の窯の蓋が開くし、亡くなった先祖の霊が現世に帰ってくるので、あの世に連れていかれるよ。」という感じだったと思います。
慎重派のアオイ
僕はサーフィンが趣味で波があれば海に行くので40年間お盆の海に通っています。
なぜ通っているかと言うとお盆は波のコンディションが良い日が多いんですね。
常識派のサトシ
お盆期間は無風快晴にも関わらず、はるか遠くの低気圧や台風からウネリだけがやってきて高い波の日が多く、これを一般的には土用波といいます。
波が大きくなると、海岸に打ち寄せられたパワーは沖へ逃げようと強い離岸流が発生しますが、これはリップカレントと言われサーファーには良く知られた存在です。
サーファーは沖に出る時にこのリップカレントの流れを利用しますが、一般の海水浴客がこれに乗ってしまうと岸に戻れなくなってしまいます。
その様を見た昔の人の目には、あたかも「足を引っ張られて沖に連れ去られる」ように見えたのかもしれませんね。
慎重派のアオイ
また大きな波には周期があって、しばらく静かな状態が続いたあと3本~4本の波の塊になってやってきます。
サーファーはこれを波のセットと呼び、波のやってくる周期は数分から10分位になり、台風からの大きなウネリになると数十分ということも珍しくありません。
静かな海でいきなり大きな波が来るんですから、これも昔の人からみればお盆の海の恐怖だったのかもしれません。
このようなことから子供や大人でも危険なことがあるので「お盆は海に行ってはいけない」となったように感じています。
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お盆に海に入ってはいけない理由については、日本全国に似たような言い伝えがあります。
伝承では旧暦の7月は閻魔斎日といって、閻魔様の休日と言われていて地獄の釜の蓋が開き、あの世から霊が集まってきやすいと考えられているんですね。
この期間はお盆の時期と重なっていて、先祖の霊も戻るため霊が海水浴に来た人の足を引っ張る事を恐れて、海を避けるようになったとも言われています。
また、お盆というのは先祖の霊が家に帰ってくるのをお迎えする時期です。
このような大切な時期に、遊び目的で海に出かけるという不敬な気持ちを戒める意味あいも含め、上記のような理由で海に入ることを禁じたという説もあります。
また地方によっては無くなった人の霊は海や川を伝って戻って来ると考えられ、帰るときもそこを通るため連れていかれると思われたのかも知れませんね。
Yahoo知恵袋では
「お盆に川や海に入ったら足を引っ張られるとか、霊にあの世へ連れていかれると言われますが、あれは全国的に言われてるもんなんですか?」
という質問に対して以下の回答がベストアンサーになっています。
結構全国的です。
お盆は地獄の門番も休みを取っているので、通常通さないような、よくないモノが地獄の門から出て来て悪さをします。
引用元 Yahoo 知恵袋
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「お盆」とは、仏教で言う「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、または「盂蘭盆(うらぼん)」を略した言葉です。
盂蘭盆会は、その昔お釈迦様の弟子である目連尊者が、亡き母を救う話に由来しています。
目連尊者の母親は子共を溺愛するあまり周囲の不幸に無関心だったことが原因で、餓鬼道に落ちてしまいます。
餓鬼道に落ちた母親は逆さ吊りにされ、飢えと渇きに苦しんでいました。
目連尊者はお釈迦様に相談したところ「夏の修行を終えた7月15日に僧侶たちを招き、供物をささげて供養するとよい」と教えを受けます。
これにより目連尊者の母親は極楽浄土を遂げたと言われています。
これは中国より伝わった仏教の風習ですが、日本各地にも古来から夏の時期には祖霊を祀る習慣がありました。
これらが混ざり合い、現在のお盆は家族が集まり、ご先祖を偲び供養する行事として定着しています。
・ お盆の期間としては、全国で違いがあり以下のようになっています。
8月13日~16日の4日間(8月盆で一般的)
7月13日~16日の4日間(7月盆 東京をはじめとする一部地域)
7月31日〜8月2日(東京の多摩地区)
8月中旬~9月上旬(沖縄県)
常識派のサトシ
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これも田舎の祖母から聞いたことなのですが、お盆には殺生をしてはいけないし生ものや肉も食べてはいけないと言われました。
これは、お盆になると先祖の霊がトンボや蝶などに乗ってやってくるので、それらを殺すと先祖が帰ってこれなくなると祖母は言っていました。
乗って来るものは地域によっては、きゅうりやなす、精霊馬や精霊牛に乗ってくるなど様々です。
慎重派のアオイ
それでお盆の終わりにはキュウリやナスで作った馬や牛を川に流して送ると言われているんですね~
またこれは田舎のお寺で聞いたことなのですが、お盆の時期は命のあり方について考え直す期間ということでした。
私達は普段当たり前に肉、魚、野菜など、様々な命に助けられて生きていますが、これらがどれだけの犠牲で成り立っているのか考える時期ということですね。
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子供の頃「お盆に海に入ると足を引っ張られるから行ってはいけない。」と言われた海。
大人になってからサーフィンを始め、40年間お盆の海にも入り続けた感想としては、これにはちゃんとした理由があり後世に語り継がれてきたと感じました。
秋の始めのお盆の海は土用波が入り始め、離岸流も強くなる日が少なくありません。
恐らく事故もあったと思いますが、それをお盆の風習と重ね合わせ「地獄の窯が開いて足を引っ張られる」みたいな表現になったのかも知れません。
とは言え僕達サーファーにとってはこの上もなく良いコンディションで波乗りが出来るタイミングでもあります。
昔の人がこれを見たらどう思うだろうと考えたら、ちょっとだけ不思議な気分になりました。
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