
THE NORTH ISLAND
welcom to nature of hokkaidou
夏は登山でゴアテックスのレイン・ウエア、冬はバックカントリーでゴアテックス・プロシェルのウエアと、ゴアテックスのアウトドア衣料とは30年以上の付き合いになります。
衣類である以上、清潔に保ちたいものですが、その当時に山の先輩に言われたのは「透湿防水の機能が落ちるから洗濯をしてはいけない。」という事でした。
次に言われたのが「クリーニングに出すとゴアテックスフィルムが剥離するから出してはいけない。」ということでした。
確かに快適なウエアだけども洗濯もクリーニングも出来ないなんて面倒なものだなと思った記憶があります。
ですが、これは30年も前に言われた事で、しかも間違った情報でした。ゴアテックスは洗濯も出来るしクリーニングにも出せます。
結論として仕上がりや費用対効果、リスク回避から考えると「プロのクリーニング店に出すべき。」というのが30年以上使った僕の答えです。
その理由を以下の内容で解説してゆきます。
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実はこれが一番の理由なのですが、ちゃんと撥水機能が回復されていないレインウエアで、雨の大雪山の2000m級を登った時の事です。
山麓では気温が高く大量の汗をかきます。正常なゴアテックスでも多少内部は蒸れますが、表面が濡れるとさらに内部は蒸れます。
撥水されないゴアテックスウエアは表面が濡れ、透湿機能が失われたレインウエアの内に着ているものは汗で濡れます。
山頂到着時、気温は夏でも10度以下で風が吹いていれば体感温度は5度以下にまで下がります。濡れた物を着てこの状況は低体温症にかかる危険がありました。
冬山登山用のゴアテックスシェルも同じことが言えます。
気温が若干高い湿った雪が降っている場合の行動でも、表面が濡れてしまえばゴアテックスウエアの透湿機能が失われ、ウエア内部は登りで汗に濡れます。
山頂到着時は氷点下でマイナス10度近く、ウエアの裏側の汗は凍ります。
ただアンダーと中間着は冬山用のものを着用しているので深刻な状態にはなりませんが、かなり不快です。
一方、きちんと汚れが落とされ強い撥水機能が回復されたゴアテックスウエアは、水滴が表面を転がり落ち濡れるこがありません。
この状態が一番ゴテックスが透湿性を発揮する状態で、登山でも極端に蒸れることはありません。この状態を維持したいということです。
洗濯は単に汚れを落とし、キレイにするという事だけにフォーカスされがちです。
ゴアテックスウエアの場合はそれ以上に透湿性を正常に高いレベルで保ちたいという思いがあり、自宅での洗濯では不満が残ります。
「これで悩むなら最初から信頼できるクリーニング店に任せた方が安心。」というのが僕の経験から出た答えです。
イントロでも書きましたが、「クリーニング店に出すとゴアテックスフィルムが劣化したり、剥離したりするので出さない方がいいし、洗濯も控えた方がいい。」と思われた時期がありました。
しかしそれは30年も昔のことで単純に考えて衣類には洗濯表示がついています。
ちなみに今、僕の持っているゴアテックスウエアの洗濯表示には、40度以下のぬるま湯での洗濯とドライクリーニングがOKとなっています。
30年前のゴアテックスウエアの洗濯表示がどうなっていたか記憶は定かではありませんが、水洗いはOKだったかと思います。
ドライクリーニングも出来たような記憶もあります。
■ そもそもクリーニング出来ないものは市場に出回らない。
基本的に、プロのクリーニング店が洗濯表示を無視してクリーニングをすることはありません。
僕は、20年ほど婦人服メーカーに身を置いていた時期があります。
婦人服こそ新しい素材がどんどん開発され、より着やすい素材、より発色が良い素材、よりシルエットが奇麗に出る素材が毎シーズンと言っていいほど出てきます。
それらの生地を使った場合、製品の仕上がりは勿論ですが、気にするのは洗濯やクリーニングに耐えうるか?です。
洗濯やクリーニング(殆どのものはクリーニング推奨)でトラブルになるものは製品にはなりません。
この辺のことは生地のメーカさんや、クリーニングの業者さんと、そのつど打合せをしましたので、かなりの信頼を僕はクリーニング店に持っています。
以上の事からゴアテックスに関する間違った情報は大昔の都市伝説みたいなものだと感じています。
ということで、洗濯やクリーニングの出来ない衣類はゴアテックスを含め、殆ど市場には出回らないと考えて間違いありません。
知っている方も居ますが、まずはゴアテックスの構造から説明します。
■ ゴアテックスフィルムの構造
ゴアテックスとは簡単に言うと無数の小さな穴が開いたフィルムです。
この穴は水の分子より小さく、空気の分子よりは大きくなっています。
よって水は通さないが、空気は通す、という完全防水でありながらウエア内部の湿った空気は外部に通すというアウトドアウエアにぴったりの性質を持ったフィルムです。
このフィルムを裏にラミネートした生地で作ったウエアがレインスーツや冬山などで使うアウトドアウエアになります。
登山など過酷な条件下で使われることが多く、当然汚れます。
これらを洗濯やクリーニングしないで使っていると、以下の不都合が起こります。
実は、以上の事は全て経験しました。
都市伝説を信じて高価なゴアテックス・ウエアを何セットかダメにしました。
ちなみに何年も洗濯やクリーニングをしないで劣化が始まっているウエアを洗濯やクリーニングすると、かなりの確率でシームテープやゴアテックスフィルムに更なるダメージを与え剥離が起こります。
そもそもクリーニングを受けてくれない場合もあり、汚れが酷くなる前にクリーニングに出す。
というのがゴアテックスウエアを良いコンディションで長持ちさせる方法です。
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最近人気の宅配クリーニングですが、その中にはクリーニングの品質は勿論、修理もしてくれる宅配クリーニングサービスもあります。
高価なゴアテックスウエアは近所のクリーニング店に頼むより、そのような品質重視のクリーニングサービスに出すのも選択肢にはいります。
加えて、集配もしてくれるとなると利便性はかなり高いといえます。
そのようなクリーニングサービスでは保管もしてくれるのでシーズンが終わったものはクリーニングの後はそのまま保管してもらうのも手です。
また靴のクリーニングも出来るところもあるので夏の登山靴など出して奇麗にしておきたいところです。
そんな目的別でのおすすめ宅配クリーニング店をまとめた記事がありますので参考にしてみて下さい。
まとめとして言えることは、高価なゴアテックス・ウエアをドキドキしながら気を使って自分で洗濯しても、汚れ落ちや撥水回復、透湿性の維持を含めた仕上がりはプロのクリーニング店には敵わない。
ゴアテックス専用の洗剤や撥水スプレーなどを使うと、クリーニングに出せる金額にも近くなってしまいます。
それで納得いかない仕上がりであれば、最初からクリーニング店に出してしまった方が安心。というのが30年以上この素材のウエアと付き合ってきた僕の結論です。
以上の事から、ゴアテックスなどの高価なウエアこそ、信頼できるプロのクリーニング店に出すことをお勧めいたします。
ただ飲食物の汚れをつけた、又は簡易的な汚れを落としたいなどの場合は自宅での洗濯も可能です。
詳しくは以下のページで説明していますので参考にして頂ければ幸いです。
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