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ゴアテックスプロシェル

GORE-TEX® Pro Shell日本で開発された驚くべき機能とストーリー


最近の高価な登山ウエアのファブリックスでよく使われている「GOER-TEX Pro Shell」 従来のゴアッテックスと比べ遥かに高機能なのは知っていても、それが世の中に出てきたプロセスを知っている人は多くは居ません。


実はこの素材は日本人が業界の常識に捕らわれず、4年もの歳月を開発に費やして市場に送り出した世界に誇れる高機能素材です。GORE-TEX ファブリクスが誕生して30年余り、以来絶え間ない改良を加えられてきましたがベースとなるものは大きく変わっていませんでした。


GORE-TEXを、さらに軽く、もっと強く

そんな中で開発チームは従来の性能や機能を上回る新たな素材を生み出すことは出来ないかと研究を続けていました。経験豊富な登山家やプロの山岳ガイド、山岳救助隊は装備の重量に神経質なくらいに拘ります。


それはウエアに対しても例外ではありません。装備を1gでも軽くできれば、それは行動の速さ、余力につながります。全ての装備の軽量化はとても重要なのことなのです。また高山帯の行動では厳しい環境のためウェアは損耗が激しくなります。


そのためウェアの軽量化と耐久性の向上は素材開発にあたるメーカーにとって尽きることのないテーマであり、各社は技術開発にしのぎを削っている状況でした。

表地を裏地に使う非常識な発想

開発チームが注目したのは裏地に業界の常識だったトリコットの編み物を使用するところを極細繊維の織物生地を使うということでした。たしかにそれを使うことにより軽量化と耐久性を高い次元で実現出来ますが、過去に織物を裏地に用いた例など一度もありません。


本来は表地に使うことを想定して評価試験を重ねていた素材を、思いきってライナーに使ってみてはどうかというのが開発チームのアイディアでした。素晴らしいのはそれがどんなアイデアであっても、否定されることはないゴア社の社風です。


開発チームはあえて業界の非常識に挑戦して新たなゴアテックス・ファブリックスの開発に成功し世に送りだしたのが「GOER-TEX Pro Shell」です。しかしその開発は当然困難を極めました。

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致命的なラミネートの課題

最も難航したのは、GORE-TEX メンブレン裏地素材とのラミネート(接着)でした。裏生地がどれほど高性能な素材であっても、GORE-TEX メンブレンとのラミネートがうまくできなければ、登山着の素材として使えません。


裏生地の織物は繊維密度が高く、ラミネートに使う接着剤が内部にスムーズに浸透しませんでした。また極細の繊維を使用しているため、接着剤を使うと生地の表面が固くなり、着心地が悪くなってしまう課題も持ち上がりました。


ゴアテックスプロシェル

それらの問題の解決にはしばらくの時間を要しましたが海外のゴア社技術担当などとも連携しながら日本の開発チームはGORE-TEX メンブレンと織物を組み合わせた新しい素材の完成にこぎ着けました。


素材が完成すると次は実際のウェアのサンプルを造り、仕上がりの良さ、着やすさ、着心地などのチェックに入ります。その後は厳しいフィールドテストに入ります。


フィールドテストでの好感触

フィールドテストでは、試着する人達に詳細な内容を一切明らかにしない方法がとられました。自分の着ている物がどういうもので、何を試そうとしているのかを明かすと最終的な評価に影響が出るためです。


フィールドテストにはプロの登山家や愛好家、メーカー専属のクライマー、小売店専属の登山ガイドなどの他海外でも行われました。特にアラスカにある山岳警備隊員養成施設で高い評価を得たことは、開発チームの自信に繋がりました。


織物をライナーに使用することで従来にない軽量性と耐久性を両立させた画期的な製品「GOER-TEX Pro Shell」が世に認められると確信した瞬間でした。


従来のGORE-TEXとは違う位置付けにしたかった市場投入

どんなに優れた製品でも市場への打ち出しがまずいとその良さがユーザーに伝わらず失敗してしまいます。構想する上で最大の争点となったのは、新製品をどう位置づけるかの問題でした。


新たに開発した素材を従来製品の延長線上にあるという印象を与えたくないため、従来品とは異なるコンセプトのもとでプロユースを想定して開発された初の製品であることをアピールする必要があります。


発表は世界に先駆け日本先行

市場投入は日本先行で行うにしても、いずれは世界を視野に入れて展開してゆきたい。日本の開発チームが苦心してつくりあげた新素材は、ゴア社全体のマーケティングにも大きな影響を及ぼす可能性すらありました。


成功を確信したチームは、アウトドア用品メーカーへの本格的なプレゼンテーションをスタートさせました。アウトドアのマーケットを活性化しようと、メーカー各社は市場に大きなインパクトを与える新製品の登場を心待ちにしていたこともあり、反応はチームが思っていた以上のものがありました。


時を置かず、展示会が開かれましたが出展するアウトドアメーカーの多くが、こぞって新開発の素材を用いた新作モデルを発表。展示会は、さながら日本ゴア社の「新開発素材発表会」のようでもありました。


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パタゴニア

世界で受け入れられたGOER-TEX Pro Shell

新開発された素材(GOER-TEX Pro Shell)は、正式に「Gore マイクログリッドバッカー」と名付けられ、これを使用して作られたしたアウトドアウエアが、2007年2月に日本国内の主なアウトドアメーカーから一斉に発売されました。


工場には多くのメーカーが訪れ、担当者は連日対応に追われ驚くほどのオーダーが舞い込み、生産能力を超えて、顧客の要望に応じきれないほどでした。


「Gore マイクログリッドバッカー」は半シーズン遅れで海外でも紹介され、アメリカとドイツで開かれるアウトドア用品の国際展示会において、大手のアウトドアメーカー各社からゴア社の新素材を使用した新作アウターが発表されました。


アメリカのソルトレイクシティで開かれた展示会では大量のオーダーを抱え、顧客対応に追われる米国ゴア社の営業達からも賞賛の声が上がり「Gore マイクログリッドバッカー」が、日本だけでなく欧米のプロの登山家や小売店バイヤーにも受け入れられ成功を確信した瞬間でもありました。


世界に示した日本の技術力と更なる進化

「Gore マイクログリッドバッカー」を素材に用いた「GORE-TEX Pro Shell」はチームの予想を上回る売れ行きを見せ、大成功を収めました。しかし素材の表地は、メーカー各社によって異なり、生地に最適な加工を施さなければ、顧客の求める撥水性を達成できません。


生地の特性に合わせ、高い撥水性を達成する課題にも取り組みチームは成功してきました。「GORE-TEX Pro Shell」のリリースにより日本の技術水準の高さを世界に示したという点でも、大きな意義もありました。


また、日本の繊維産業は生産コストの安い中国や台湾へのシフトが加速し、国内の空洞化が懸念されていました。そんな中、業界の多くの関係者に大きな自信を与えたのも事実です。


Gore マイクログリッドバッカーとそれを素材に用いた「GORE-TEX Pro Shell」は、アウトドア市場に新たなトレンドをつくり出しました。その後、さらに革新的な「GORE-TEX Active Shell」が市場導入され、人気を集めています。


今後、第2、第3の「Gore マイクログリッドバッカー」がゴア社日本チームのもとから生み出される日が、そう遠くない将来やってくるかもしれません。


GORE-TEX Pro Shell実際の使用感

実は僕も冬山ではGORE-TEX Pro Shellのウエアを使っています。購入したときは、まさかこの素材を開発したのが日本人だとは知りませんでしたので、後で知ってビックリしたものです。以前は北海道の冬山では雨が降ることもなく防水よりも透湿性を優先してソフトシェルのジャケットを使っていました。


ソフトシェルはジャケットを着たままでもハイクで汗がこもることもなく快適でした。しかしハードシェルに比べ防風性が弱く、強風時には寒いということから再びGORE-TEXハードシェルを使うようになりました。


それで選んだのがGORE-TEX Pro Shellのウエアですが、仕様や性能に関しては予備知識はまったく無く、最初の感想は軽いけど随分と薄いな...というものでした。ハイク時には真冬でも暑ことが多いのでジャケットはたたんでザックに入れます。


そういう場合はコンパクトになり重宝しています。また防風性に関しては申し分なく強風時でも安心感があります。それと新たな極細繊維の織物生地を裏地のラミネートに使った恩恵なのか汗がこもらず透湿性もUPしている気がします。トータルとしてはかなり高いレベルで満足しています。


GORE-TEX Pro Shell まとめ

現在、国内外のアウトドアメーカー各社からGORE-TEX Pro Shellのウエアが売られていますがネックはその価格でしょうか上下で揃えると15万円ほどか、それ以上の出費となってしまいます。


購入を検討する場合は色々なサイトなどで情報を集め、当然ですが試着してみることを強くお勧めします。さらに詳しく知りたい方は動画もあるので、こちらを参考にすると良いかと思います。

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