THE NORTH ISLAND
welcom to nature of hokkaidou
雪山には登山道は当然のようになく自身でルートを決めて目的地を目指します。
滑走目的の場合は登るルートと滑走ルートが違う場合が殆どで高度なルートファインディングを求められます。
僕は冬山に入るようになってから30年以上となりますが、積雪により毎年地形が変わるので常に真剣な地図読みが必要だな~と感じています。
とは言え、雪山には昔から効率のいいルートが設定されている山が殆どで、滑走目的といえども登りはそのルートを使うことが殆どです。
これには国土地理院の1/25000図にそのルートを落として山ではそれをトレースしていく方法をとります。
コンパスと高度計があればホワイトアウトした中でも正確にルートをトレースして帰ってこれます。
最近はGPSを使うことが殆どですが、それでも地図を読めることが前提です。
ようは紙の地図を読むか、モニターの中の地図を読んでルートファインディイングをするかの違いで基本的に地図が読めなければGPSも使いこなすことは難しくなります。
またGPSを持っていたとしても機械には故障が付きもの、地図、コンパスはバックアップとして持っておきたいところです。
ここではそんな地図読みの基本的な内容を以下の項目で説明をしてゆきます。
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それでは実際の地形図を見てゆきましょう。これは冬に僕がよく行く余市岳の地形図になります。
無料の山岳ソフト「カシミール」で国土地理院電子版の地図をダウンロードして磁北線を入れ、ルートを書き込んでみました。
実際に僕が使っているものにはさらにGPSのウエイポイントが記入されていますが、今回はコンパスを使う説明ということでウエイポイントは記入していません。
地図上青の斜めの線は磁北線でコンパスがさす北はこの線の上方になります。
以下、地図上各地点でのコンパスや高度計の操作法を解説してゆきます。
ルートの線で赤は歩き&登り、青は滑りになります。出発はゴンドラ山頂駅で標高を見てみると1180mほどです。
このときに高度計を補正しておきます。
高度計は気圧で高度を計っているため、その日その場所の気圧(天気)によって示す高度にばらつきが生じるので地図上の標高のはっきりしている場所で高度を補正して合わせておきます。
磁北線にコンパスの針を重ねて針のNが上を向くようにすると、進むべき方向がわかります。
ここからは標高1300mほどまでは広い雪原を東にゆるい登りとなります。
高度計を確認しながら標高が1300mに達したら進む方向が南に変わるのでコンパスを地図に合わせルートを確認します。
標高が1230mほどの地点から若干ルートは南西方向に変わりますのでチェックポイントにしておくと良いかと思います。
視界があれば余市岳山頂方面を見ながら進むこととなるので迷うことはありませんが、視界が無い場合は平坦な場所なので真面目な地図読みが必要な場面です。
高度計で簡単な天気予報が出来ますので休憩時にでも試してみましょう。
地図上の標高がはっきりしている場所で高度計が標高を高く表示しがちの場合は気圧が下がり傾向とのことで低気圧が接近しているということになり天気は下り坂ということです。
逆に標高を低めに表示する場合は気圧が上がり傾向とのことで天気は上がりということが言えます。
ただ天気を予報する場合は定点での観測が基本ですので場所や高度を移動しながらの場合は大雑把な判断材料にしかなりませんが覚えておいて下さい。
なお、等高線は太い線が50mおきで、細い線が10m間隔となりますので等高線が詰まっている場所は斜度が急で広い場所は平坦に近い地形となります。
それにより沢や尾根などの地形がわかります。では再び余市岳のルート図にもどります。
さらに進み、地図上1239mのコルの鞍部から余市岳への登りになります。
地図で見ると等高線も狭く細尾根の急斜面というのが見てとれます。
ドロップポイントは地図上の標高約1400m地点となります。
斜面は南東向きで標高差は約280mと地図の等高線から分かります。
斜面のボトムからは登り返しとなりますが、目指すのはコルの鞍部です。
方向は地図上の磁北となりコンパスと地図を合わせて方向を確認します。
この時にコンパスは動かさず、地図を回して合わせると進む方向がわかり易いかと思います。
コルからはさらに来たルートを戻り標高1290mあたりから北西に伸びる細尾根の右をへつりながら滑ります。
ここはその年の積雪により若干ルートが振れますが、斜度が取れて止まってしまわないラインを選んで滑ります。
斜度を選んでゆくと、地図上標高1010m基点の深い沢に滑り込みがちで注意が必要な場所です。
沢の対岸にはゲレンデから滑り込んできてコースに戻るトラバースラインがついていますが、滑るには快適なラインではないのであまりお勧め出来ません。
こちらに滑り込んでしまった場合は登り返さず、ゲレンデに戻るエスケープラインになります。
目指すのは⑦でスキー場のコースに出る地点です。
地形図の真北は地図の上になりますが、磁石が示す磁北とは一致しません。
磁北は日本では西に若干傾いていてこれを西偏と言います。
北海道では西に9°30'傾いているので地図にそれを予め記入してコンパスで使えるようにします。
9°30'は入れ辛いので9°でいいと思います。
次に等高線ですが1/25000図で地形は10m間隔の等高線で表現されているため10m以下の凹凸は表現されていません。
水平距離も1mmが実距離では25mとなるのでかなりの部分が省略されていると考えて下さい。
さらに、雪山ではこの地形に2m~3mの雪が積もり実際の地形とは違う景色となります。
この辺は実際に地図と地形を見比べて慣れていくしかありません。
当然その年の積雪や時期によっても景色は変わりますので最初のころは気が付いたことを地図に書き込んでゆくのもアリです。
通過注意点や迷い易い場所、休憩適地などを書き込んでゆけば貴方だけのオリジナルの地図が完成してゆきます。
・お勧めの方位磁石コンパス
オイルコンパスで縮尺メジャー付き。サイズ感もよく使いやすいです。
・お勧めの高度計
デジタル式のものもありますが、雪山など低温下での厳しい条件下で使用を考え電源を使わないアナログ式がお勧めです。
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日本の地形図には1/10000 1/25000 1/50000 地勢図には1/200000があります。
1/10000は都市部の地図しかなく、山では1/25000図が最も使われます。
1/25000図は水平距離25mが地図上で1mmのため感覚的に距離感が掴み易く、等高線間隔も10mですので登る感覚と目の前の地形スケールを把握しやすいという利点があります。
その山を含めた山域全体を知りたい場合は1/50000、アプローチや道路を調べる場合は1/200000地勢図が便利です。
実は平成14年に、この地形図には大きな変化があり世界測位系にによる新たな基準にのっとって作られています。
それにより旧来の1/25000図より東に450m、南に350mほど移動して新旧地形図の接合に空白が生まれないように図郭をひとまわり大きくしています。
まぁ山に入る地図を読むのにそこまでの知識は必要は無いのかもしれませんが雑学として覚えておいて下さい。
以上、ざっと地図を見ながらルートを辿ってみましたがいかがでしたでしょうか?
地図は書店で使う場所の1/25000図を買って分度器で磁北線を入れてもいいですし、上の図のようにカシミールで国土地理院の電子版地図(無料)を表示させて使う場所だけプリントアウトするのもいいでしょう。
僕は後者の方を使用しています。
なんと言っても「山岳ソフト カシミール」も無料ですし、表示させる地図も無料、GPSとの相性もいいのでログを落としたり、ウエイポイントを入れたり、勿論コンパス使用の地図製作にも便利です。
最近はGPSを多用することが多いのですが、それでも地図読みが出来ることが基本になります。
記事の冒頭でも書きましたが紙の地図を読むのか、GPSのモニターの地図を読むのかという違いだけですので、地図読みが出来なければGPSを有効に使えません。
GPSに関しましてはお勧めや詳しく説明しているページがありますのでこちらもご覧ください。
最後に冬山の場合は登山道を歩くわけではないので、あまり細かくルート図に忠実にならなくても良い場合があります。
雪の状態により歩きやすい所を行くほうが効率的ですし、先行トレースがある場合はありがたく利用させてもらいます。
そこのところは臨機応変にルートを見極めて下さい。
また、初心者のうちは経験者の後ろをついて行くと思いますが、地形図を見ながら自分でもルートを確認してみるのが上達の近道です。
何かアクシデントがあった時でも単独で自力下山が出来る実力は早い段階で身に着けておきましょう。
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