THE NORTH ISLAND
welcom to nature of hokkaidou
僕は現在60代になりますが、30代~40代後半までは日高の山、知床の山や大雪山の沢を含めた熊のテリトリーに深く入り込んだディープな山登りをしていた時期があります。
やはりクマには最大限の注意を払っていて、乱暴なやり方ですが沢に入る前などには爆竹を鳴らしたりしてこちらの存在を知らせていました。
今、これをやると怒られます!というか、とんでもない登山者ということでニュースに出ちゃうかもしれませんので絶対にやらないで下さいね。
当時はまだそんな部分が緩い時代でもありました。
ヒグマは日本国内に生息する最大の陸上動物で成獣では400kgを超える個体も居ます。
これは本州で見られるツキノワグマよりもはるかに巨大で、北海道の生態系を代表する野生動物と言えます。
生息域は低地、平野部を除いた、ほぼ全道に広がりその数は約2000頭あまりと考えられます。
ヒグマは北海道本島にだけ分布すると言われてきましたが2019年に利尻島に泳いで渡ったと思われるクマの痕跡がありましたがその個体については未確認です。
山岳地においては羊蹄山とニセコアンヌプリからシャクナゲ岳にいたるニセコ連山には生息しないと思われていました。
しかし、2000年に羊蹄山8合目とその山麓で目撃情報があり、その山域も行動範囲の一部であると考えるのが自然かと思います。
今回はそんなヒグマ事故に遭わないためと山で出遭った場合の対処法を以下の内容で解説してゆきます。
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登山者が被害に遭う事は意外と少なく、釣り人や山菜取りをする人の方が、ヒグマのテリトリーに入り込むことが多く危険だと言われています。
登山ではキャンプの用意で取水や用をたしにルートを外れる場合は十分な注意が必要です。
記憶にあるヒグマによる登山者の人身事故としては、1970年7月下旬に福岡大学のワンダーフォーゲル部員がカムイエクチカウシ山で襲われた事故がありますが、このときは3名が命を落としてしまいました。
一般的に登山者はヒグマが近くに居てもなかなか分からないものです。
通常はヒグマの方が先に気が付き登山者が行き過ぎるまでヤブに隠れているか、逃げてしまいます。
数メートル以内に近づいたときには独特の獣臭がすると言われていますが、そもそも普通に生活していたら獣臭など嗅ぐ機会はなくどんな臭いなのかも分りません。
危険なのはクマも人間もお互いの存在に気が付かづバッタリ遭遇してしまうことです。
一番の対策はヒグマと遭遇しないようにするということで、クマ避けの鈴などで、こちらの存在を知らせる事です。
早朝や夕方はヒグマの活動時間でもあり、日中でもガスがかかって見通しが悪い時などは要注意です。
数人のパーティーの場合は出来るだけまとまって歩くようにして、1人だけ遅れるというようなことは避けなければいけません。
どちらにしても登山道を通るときは「ヒグマのテリトリーを通らしてもらっている。」という意識が大切です。
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ヒグマと遭遇した場合は中々冷静ではいられませんが、予め考えておくことで適正な行動をとることが出来ます。
まず、慌てずにヒグマから目を離さない、そうしてその場を不用意に動かないことが重要です。
驚いて走って逃げると、必ずヒグマは追いかけてきます。
そのスピードは40kmと言われるほどで、とても逃げ切れるものではありません。
クマは犬に非常に近い動物で走るものを追いかける習性があると言います。
ヒグマは木登りが得意で、木に登るのも殆ど意味がありません。かりに登れない肥満のクマでも下で何時間でも待っています。
そんな時にクマスプレーの用意があれば、クマの動きに注意して、こちらに向ってくるようであればこれを噴射することが出来ます。
ですが殆どの場合はこちらが動かなければヒグマの方でその場から離れてゆくということも覚えておきましょう。
クマスプレーは登山店やアウトドアショップで入手することが出来ます。
SABRE(セイバー)はアメリカの老舗護身スプレーブランドです。高圧ガスで9mの長距離噴射を実現。登山やキャンプ、釣り、狩猟など熊が出没する地域に出かける際にリスクを軽減することができます。
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複数人で遭遇した場合は出来るだけ集まり、横並びで両手を広げるようにして集団を大きく見せるのが有効です。
檜山北高校の山岳部員が遊楽部岳で下山中にヒグマと遭遇したときに、この動作で事なきを得ました。
ヒグマは威嚇行為として「足で地面を叩く」「見せ掛けの突進をする」「大きく息を吐く」などのことをします。
この場合でも動じず冷静を保ちましょう。走り出すのは自殺行為と言えるほど危険です。
スプレーなどもなく、ヒグマが後を付いてくる場合は、持ち物を置いて注意をそらします。
ザックの中身の防寒着やコッヘル、何でもいいですが、この時も走って逃げてはいけません。
ヒグマが興味を示したらその間に静かに下山しますが、それでも後を付いてくる場合はザック、それもダメな場合は行動食などの食物を置きます。
人間の食べ物の味は教えたくないのですが、緊急時なので仕方がありません。
一度置いたものは、絶対に取り返しに行ってはいけません。
ヒグマが一度手をかけたものはもうヒグマは自分の獲物と思っています。
日高山脈カムイエクウチカウシ山で起きた福岡大学ワンダーフォーゲル部のヒグマの人身事故は、テントやザックを回収しに行ったことが直接の原因と言われています
また小熊を見かけた場合は必ず近くに母クマが居ますので特に注意が必要で、速やかにその場を離れましょう。
一番の策はヒグマと出遭わないようにするということで、こちらの存在を離れた場所から知らせるためにもクマ避けの鈴などは効果があります。
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北海道のみに生息する日本最大の哺乳類であるヒグマは、北海道の豊かな自然を代表する野生動物の象徴とも言えます。
生態系においては、植物および動物(シカやサケ・マスなど)を捕食する食物連鎖の上位に位置しています。
北海道の先住民であるアイヌにとって、ヒグマは山の神として畏敬と畏怖の対象であり、また、資源としても利用する特別な存在でした。
開拓時代以降は、人や家畜、農作物に被害を与える害獣として積極的に捕獲されると同時に、狩猟対象としての資源でもありました。
昭和37年に発生した十勝岳噴火による降灰の影響などによりヒグマによる人や家畜、農作物に大きな被害が出たため、昭和38年から「ヒグマ捕獲奨励事業」を開始することとなります。
昭和41年からは、ヒグマの駆除を積極的に進めるため、捕獲の容易な残雪期の駆除事業「春グマ駆除」を開始しました。
その結果、昭和50年代以降、人身、家畜等の被害は少なくなり、捕獲数も減少しました。
その後、道内人口が増えるにつれて低標高域の森林は耕地や宅地となり、ヒグマの生息域が分断、縮小されるなど生息環境が悪化してゆきます。
地域によっては個体数の減少が懸念されたことから、平成元年度をもって春グマ駆除は廃止されました。
現在、環境省のレッドリストに「石狩西部のエゾヒグマ」及び「天塩・増毛地方のエゾヒグマ」が、絶滅のおそれのある地域個体群として選定されています。
春グマ駆除廃止以降、北海道では保護に重心を置いた施策を実施してきました。
しかし近年は人への警戒心が無く、人を恐れないヒグマの出現が見られるよになり都市部にも出現するようになり事故の懸念もあり、今後のヒグマとの関わり方は検討課題となっています。
2019年の7月ころから札幌市南区に出没したヒグマ
e-kensinマップによる2023年のヒグマ出没マップです。
ほぼ全道がヒグマの生息域ではありますが、人が住んでいないエリアでは目撃情報がありませんので空白地域もあります。
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冒頭でも書きましたが30代~40代後半までは日高や大雪の沢にハマって随分と通いました。
また、あまり人気の無い山が好きで、人気の無い山中でのテント泊などもかなりの回数をして30年以上たちましたが、熊と至近距離で遭遇したことはありません。
もちろん糞や足跡などの痕跡や遠目に確認することは何度かありましたが、やはり登山中の熊対策は遭わないようにするのが一番かと思います。
一番危険なのは人間とヒグマが双方、お互いに気が付かず至近距離でバッタリと出遭うということです。
そこで慌てて走って逃げるというパターンが一番危険な行為といえます。
遠くからヒグマに人間の存在を知らせるのには、熊よけの鈴などが一番良いということで僕もザックにはカウベルを付けています。
高価なものではないので皆さんも無積雪期の山に入る場合は是非ベルなどを付けて熊対策として下さい。
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