THE NORTH ISLAND

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夏至とは/日の出、日の入り、海外の風習など


この記事を書いているのは3月の初旬ですが、北海道は冬の間は陽が短く16時を過ぎると暗くなっていました。3月のこの時期になると随分と陽が長くなったなと感じます。ということで年間で一番陽が長くなる夏至(げし)について調べてみました。夏至は単純にいうと1年で一番陽が長いということが出来ます。正午の影が一年で最も短くなる日でもあり言い方を変えると日の出が年間で1番早く、日の入りが年間で1番遅い日です。つまり1日の中で太陽が1番高くなるときの高さが年間で最も高くなる日ということなのですが、ではその原因は何なのでしょう?


日本には1年を24分割し、それぞれに季節を表す言葉をつけた二十四節気という季節の呼び方があります。そのひとつが夏至(げし)であり、新暦では6月21日頃ですが、年によって変わります。これは北半球では一年のうちで最も昼の時間が長くなることで知られています。太陽の位置を表す黄経で90度の時を言い、正午における太陽の高度が最も高く、昼間の時間が最も長い日といえます。また夏至を境に昼の時間、太陽の日照時間が減ることでスピリチュアル的なエネルギーの転換期と捉える考え方もあります。



■ 日の出、日の入りからみる日照時間

先ほど「1日の中で太陽が1番高くなるときの高さが年間で最も高くなる日」ということを書きましたが日の出から始まって年間で1番高い位置を通って日が沈むということで、日の出から日の入りまでに時間がかかります。つまりこれが陽が長くなる原因といえます。下の図を見て下さい。

この時期は太陽は北に近い東から登って昼には1番高い場所を通過し、北に近い西に沈みます。1番低い導線の冬至と比べるとその日照時間の違いが何となくイメージがつきます。ちなみに1年で一番昼が短い冬至(とうじ)では日の出~日の入りの時間も夏至とはかなり違います。2019年の夏至は6月21日となり札幌、東京、那覇の日の出、日の入りは以下のようになります。


・札幌 日の出3:55 日の入り19:17

・東京 日の出4:25 日の入り19:00

・那覇 日の出5:37 日の入り19:25


これが1年で1番陽が短い冬至、2019は12月22日になると以下のようになります。


・札幌 日の出7:03 日の入り16:03

・東京 日の出6:47 日の入り16:32

・那覇 日の出7:13 日の入り17:43


全国で3都市のデータですが夏至と冬至では日の出、日の入りにかなりの違いがあるのが分かります。ではこのような違いがなぜ起きるのか調べてみました。

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■ 夏至と冬至の起きる原因

これは一言で言うと地球の自転軸の傾きが原因です。地球は自転軸を傾けたまま太陽のまわりを回っているので夏の間は、傾いた自転軸の北半球側が太陽の方向を向いています。逆に冬になると、自転軸の南半球側が太陽の方向に向くのです。


上の図によると日本の位置では夏至の太陽光線は地平に対して78.4度の角度であるのに対して冬至では31.6度となります。これはそのまま太陽の日の出から日の入りまでの導線となり、夏至では高い位置を通り冬至では低い位置を通るので日照時間の違いとなります。ちなみにこの自転軸のため北極圏に位置するラップランドでは5月の終わりから8月の初めにかけて、太陽が沈まない白夜が続きます。


■ 日照が長くなるのに年間で一番暑くならないのはなぜ?

そこで1つの疑問が生まれます。日照時間が年間で一番長くなる夏至がなぜ一番暑くならないのはなぜだろうということです。これは日本の場合、梅雨の時期と重なっている場合が多く、実はそれほど気温が上がらないということがあります。しかし、北海道のように例え夏至の時期に梅雨がなくても、この時期に年間最の高気温を記録すこともありません。これは日射時間の長さによる気温上昇は少し遅れてくることによります。日々の最高気温も、太陽が一番高くなる正午ではなく、それからちょっと遅れた午後2時ごろとなります。


気温が上がる要因は日射だけではなく、地表の温度とそれにより温めたれる大気の温度によるところが大きくなります。まず、太陽の日射によって地表が温められます。それが大気を温めるので、そこに時間差が生じてしまいます。毎日の「最高気温」のズレは2時間ほどで、季節的なズレでは1ヶ月半ほどです。そのため暑いという時期が少しずれるのです。


■ 短夜(みじかよ)というとらえかた。

夏至は昼間が年間を通して一番長くなりますが、反面最も夜が短くなる時期でもあります。そこで、夏の短い夜のことを「短夜(みじかよ)」と呼ぶようになり、夏の季語として親しまれるようになりました。平安時代の貴族たちは短い夜をいつくしみ、蛍狩りを愉しんだそうです。清少納言も、「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがいたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」と『枕草子』で綴っています。現代では短夜を過ごすためのイベントとして、ライトダウン、キャンドルナイトなどが各地で行なわれています。


■ 三重県二見浦の夏至祭

三重県二見浦には、夏至の日の前後2ヶ月間だけ夫婦岩の間から朝日が昇る特別な時期があります。そして、この海中には興玉神石があり、昔からその興玉神石は常世の国から神が寄りつく聖なるところといわれてきました。そして、夫婦岩はその鳥居と見なされているそうです。また二見浦では毎年「夏至祭」が行われ、白装束に身を包んだ300人近くの善男善女が、天照大神を迎えるために、祝詞を唱えつつ海に入り、朝日が昇ろうとする夫婦岩に向けて歩いていきます。そして昇り来る朝日を浴びながら禊をする祭典です。


伊勢市観光協会チャンネルより。


■ スピリチュアルな部分での夏至とは

春分の日、夏至、秋分の日、冬至、などの時節の変化する時期はスピリチュアルな意味もあるようです。確かに、春夏秋冬の「転換期」には体調や心、メンタルな部分に変化が起きやすく、季節の変わり目を感じることはよくあります。ただ全ての人がそうというわけではないし、全てが変わり目に影響されるわけではないのも事実です。あくまで「夏至」は、必要なモノを内側に、取り込み、必要でないモノは捨てて精神や体調のバランスを調整する目安の日という意味合いの日ということなのかもしれません。


■ 海外の面白い夏至の風習

ちょっと国内のことも調べてみましたが、国内では冬至のように特にこれを食べるとかという事は夏至には少なく決まった風習も見当たりませんでした。夏至の行事食としてはタコや半夏生餅(小麦餅)などが紹介されていることもありますが、これは夏至から11日目にある雑節の行事食といった方が正確と言えます。夏至の日に特別な行事食が存在しないのは、田植えなどの農作業に忙しい時期で行事食を作る余裕が無かったという説もあります。


海外に目を移すとヨーロッパではキリスト教以前から各地で夏至の祝祭が行なわれていたようです。日照時間が短い北欧圏では太陽に感謝する色々な行事も行われていました。「ボーンファイヤー」と言われた動物の骨を焼き燃え方によって占いが行われたり、夏至の日を堺に力が弱まっていく太陽に力を与えるため焚き火をする風習が「聖ヨハネの火」に繋がっていったとも言われています。



またヨーロッパでは夏至は愛の日とも考えられ、愛を確かめ合ったり今後の恋愛を占ったりする日でもあります。スウェーデンでは未婚の女性が7本の花を拾って枕の下に入れておくと将来の夫が夢に現れる。という言い伝えがあったり夏至の夜に交差点に立っていると未来の夫と巡り会える。という夢のある話もありました。夏至の真夜中に咲く赤いシダの花を摘むと夫婦円満の願掛けになったりするという言い伝えもありあます。どちらにしても夏至は春から夏に季節が進む入り口で、良い季節の始まりということで毎年楽しみにしています。


■ まとめ、自分なりの夏至の過し方

平安時代の短夜(みじかよ)を現代風に楽しむ方法として、キャンドルナイトをしてみるのもいいかもしれません。これは夏至・冬至、夜8時から10時の2時間電気を消してロウソクの明かりだけでスローに過しませんか?というもので過し方は自由です。恋人と静かに食事をするのもいいですし、ロウソクの灯りの下で子供に本や、お話をしてあげるのもいいでしょう。灯りが落ちた都会の星空を眺めるのも良いアイディアです。ただ2時間、でんきを消すことで色々な過し方の可能性があります。そんな夏至の夜、短夜(みじかよ)の過し方も素敵かと思います。