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凍傷に気をつける。

冬山での凍傷の怖さ


凍傷とは寒さや風で手足の指や顔面が凍ってしまう症状で、ヤケドのように1度~3度までありますが3度まで進行してしまうと

患部の切断ということになりかねない怖いトラブルです。気温が-15度以下に下がり5m以上の風が吹けばキツめのスノーボード

ブーツの爪先、ハイク用グローブでの手の指先、風に叩かれている鼻先などは凍傷の危険があります。僕も4月頭のオプタテ山頂

近くで強風に叩かれながら、顔が寒いのを我慢して登っていたときに鼻が凍傷になったことがあります。


凍傷はそれ自体怖いものですが、それによる行動への影響も無視出来ません。凍傷にかかったら軽いものでも直ぐに下山して治療を受け

なければいけません。ですが足の指が凍傷にかかると足先に力が入れれずスノーボードやスキーをうまく操作出来なくなったり、歩く

のも苦痛になります。手の指先の場合はポールをうまく握れなくなったりして行動がかなり制限されてしまいます。下山途中の

なんでもない所で転倒したりする危険もあるのでパーティのメンバーはしっかり見守る必要があります。


■ 凍傷にかからないようにする。

凍傷は風と血行の阻害が主な原因です。そのため寒気か血行阻害の影響を受けやすい手足の指先や鼻先が凍傷になり易いのです。

寒気の中のハイクでポールをずっと握っているときや、ブーツをキツく絞めているときなどは気をつけなければいけません。

そのためのにもハイク用のグローブで指先が冷たくなったら早めに滑走用のグローブに着けかえる。ブーツはハイクしているときは

緩めにして滑るときに絞めなおすなどの工夫が必要です。


このときにグローブには速乾性のある薄手のインナーグローブを重ねて着けたりして出来るかぎり素手をさらさない工夫や、

ソックスも1枚ではなく薄手速乾性インナーソックスに中厚の登山用ソックスを重ねて着けるのは防寒にもかなり有効です。

グローブやソックスが汗で湿ると極寒時には凍傷の危険性がぐっと高くなりますので必ず登山用の速乾性の物を使用して下さい。

凍傷対策にはブーツは若干余裕のあるものが望ましいのですが、それでは滑走時の操作性が悪くなり悩ましいところです。


僕は指先に余裕がある5mmオーバーサイズのブーツを買って、足首やその他のフィット感を上げるために中敷を入れたり

インナーにパッドを貼ったりして調整していますが、ブーツの中で爪先が動き過ぎるとバックサイドでの操作性が悪くなります。

パウダーを滑るぶんには問題ありませんが、普段ゲレンデを滑るときなどは違和感があります。かといって爪先の隙間を

滑り易いように追い込んでいくと冷え易くなり妥協点が難しいところですが、この辺は自身で滑り込みながら探っていくしかありません。


凍傷の予防にはブーツやグローブ、ソックスなどの装備の工夫も必要ですが、感覚的な部分も重要です。手足の指先や

鼻、耳の感覚が鈍ってきたら敏感に察知して、マッサージしたりブーツやグローブの中の指先を動かしたりして血行を促進しましょう。

また仲間同士で顔面をチェックするのも有効です。ちなみに喫煙は末端血管を縮小させ血行を阻害して凍傷にかかりやすくなる

ことも頭の隅に入れておいて下さい。


また行動中は水分を多く採るようにしましょう。冬山の環境は空気が非常に乾燥しているので呼吸をしているだけで体内の水分が

思った以上に失われてゆきます。汗をかけばさらに水分は失なわれ血液濃度が高くなり、末端の血行が悪くなり冷えにつながります。

ハイク時に体は暑いのに手や足の指先が冷えるのはこんな理由もありますので面倒がらずに行動中の水分補給はまめにしましょう。

気温が低い時などは中々喉の乾きを覚えないものですが凍傷の予防には水分補給も重要です。


■ 凍傷にかかってしまったときの応急処置

運悪く凍傷にかかってしまったら一刻も早く下山して医療機関で受診するのがいちばんですが、それが出来ない場合は応急処置を

する必要があります。山小屋、ツエルト、テント、雪洞になどに収容して体温ていどのお湯をつくります。患部をひたし

冷めてくるつどにさし湯をして一定温度を保つようにします。このときに熱くし過ぎないのがコツで根気よく温め続けます。

感覚が戻ってくると強い痛みを覚えることがあり、ひどいようならショック症状を招かないためにも時々湯から出して続けます。


感覚が戻ったら清潔な布、包帯などで患部を保護して出来るだけ早く下山して外科又は皮膚科で治療を受けましょう。

このときに水泡を破ったり、軟膏などの薬をつける、患部をバーナーなどにかざし不必要に加熱するなどは症状の悪化を招くので

お勧め出来ません。とは言え、こういう場面で都合よくテントや山小屋が近くにあるはずもなく。時間によってはツエルトや雪洞で

山中1泊もありえますので、そのような場面でも慌てない知識や装備は備えておきましょう。


またその場の処置よりも下山した方が得策な場合。ビバークの装備が無い、天候が極度に悪化するなどの場合はそのまま下山する選択肢

を選びます。これは一度溶けた組織が再凍結すると、凍結したままの状態よりも損傷がさらにひどくなるという理由からです。

ブーツが原因の場合は処置したにも関らず再度凍傷の危険もあり症状の悪化が予想されます。通常のバックカントリースノーボードで

足や手の指が凍傷になり、さらに凍るということはあまり考えられませんが頭の隅にでも置いといて下さい。



■ 低体温症を疑う/症状と応急処置

手足に凍傷をおう位に体が冷えた場合は低体温症になっていないかも疑う必要があります。これに気が付かずにいると凍死にいたる

場合もあるので注意が必要です。凍死というのは体中が凍傷になることではありません。体の熱生産と放散のバランスが崩れ

生命の維持に必要な温度以下に下ってしまうことです。なので凍死は夏山でも起きますし酔っ払って道端で寝てしまった場合でも

凍死する場合があります。でも夏山や道端で凍死をしても凍傷になることはありません。


もし凍傷をおった当事者が過度の疲労感や体調の不調による震え、倦怠感、眠気などを訴えた場合は低体温症にかかっている

疑いがあります。現場で体温を計ることは出来ませんが体温の低下による症状は以下のとうりです。37度~正常 ここから体温が

下ってくると「強い疲労を感じ始めたり、バテた時や体調不良とよく似た症状が現れます。」 35度までは体の震えが見られます。

思考力も低下し立てなくなることもあります。 


34度を下回ると震えも起きなくなるので体温はさらに低下し自力回復は出来ないボーダーラインです。 31℃になると昏睡が始まり

20度で心臓は停止します。これらの症状が見られたら早めの処置が必要ですが山の中で出来ることはそう多くはありません。

それでも加熱は有効ですのでツエルトに収容し携帯カイロや「湯たんぽ」で体を温めます。湯たんぽはプラティパスなどの水筒に

バーナーでお湯を沸かし入れて「湯たんぽ」とします。


複数ある場合は両脇、ソケイ部、腹部を温めます。1つしかない場合は腹部を温めます。ここには太い血管が通っているので効率よく

体を温められます。このときに寒がっているからといって体をさすってはいけません。冷えた血液が心臓に周り心停止となる場合が

あります。また無理に歩かせても冷えた血液が心臓に周るので注意が必要です。「湯たんぽ」はヤケドをしないように布で包むことも

忘れずに行って下さい。この時にエマージェンシーシートなどで体を包んであげるとさらに加温に効果的です。


低体温症になった場合は動かすことも危険なので救助を要請した方がいいと思います。不幸にして心停止を引き起こした場合は

心臓マッサージを行うことになります。心臓は停止して3分で50%が亡くなりますが、2分以内に開始すれば90%が助かるそうです。

心臓マッサージは下界では救急車が来るまで続ける、と言われますが山では救助はそんなに早くは来ません。医療現場でも、長い場合は

3時間や5時間という話も聞きます。救助がこちらに向かっているのなら「救助が来るまで」と割りきって行うのが良いかと思います。


さらに詳しく勉強したい方は此方を参考にしてみて下さい。著者は凍傷治療の第一人者で災害ドクターですのでとても参考になります。


図解 山の救急法 医学的根拠から応急処置法まで



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